グローバル市場レポート
2012年01月27日更新
【中国】:国際通貨基金(IMF)のデビッド・リプトン筆頭副専務理事は、中国経済は米国
および欧州連合(EU)の景気低迷に足をひっぱられていると発言するも、ハードランディ
ングの可能性を否定。
1月16日~17日に開かれるアジア金融フォーラムに先駆け、同氏は香港貿易発展局(TDC)とのインタビューで、「中国のハードランディングはないだろう」とコメント。
また、「ただし、昨年の高度成長からは減速するだろう」とも言及。
政府が物価の上昇を抑えようと努力するも、 12月のインフレ率にあまり変化は見ら
れなかった。国家統計局によれば消費者物価が昨年同月に比べ
4.1%増加したが、11月の4.2%増からは減少。
しかし、年間インフレ率は5.4%で、政府の目標値を大きく上回っている。
アナリストは、インフレが引き続き政策立案者の頭痛の種であることに変わりはないが、
2012年に入り物価上昇率は今まで以上の速度で低下するとみている。
バークレイズ・キャピタルの中国エコノミスト、ジェイン・チャン氏は、
いつも旧正月(今年は1月23日)の前後の月に物価上昇がみられていたと分析。
しかし、物価の上昇は2012年を通して緩やかな低下を続けるだろうとの見通し。
【インド】:11月、インドの工業生産高が回復し、金融引き締めが経済成長を脅かしているの
ではないかとの懸念を緩和。
また11月の工場生産高が昨年同月に比べ 5.9%増加し、 10月の4.7%減から飛躍的な伸びを示した。
インドの中央銀行は、上昇する消費者物価を制御しようとこの2年間で主要金利を13回引
き上げているが、高い借入コストが製造業部門に負担をかけているのではないかと心配の声
が上げられている。
ムンバイに本拠を置くケア・レーティングスのマダン・サブナヴィス氏は、「インド準備銀
行(RBI)は、不安定ではあるがマイナス成長とはなっていない工業生産高に胸を撫で下
ろしているだろう」とし、「また、中央銀行は引き続きインフレに焦点を当てることができ
る」とも指摘。
【ギリシャ】:木曜日、副財務相は、ギリシャの債務負担を軽減するため大多数の民間債権者
が自発的に債券スワップに応じない限り、同国は欧州諸国からさらなる借入をしなくてはな
らなくなるだろうと発言。
フィリポス・サヒニディス氏は、「例えば、参加率が100%に達しない場合、財務上の穴埋
めをするためギリシャは、欧州諸国にさらなる支援を要請する必要が出てくる」と言及。同
コメントは、木曜日にアテネで行われる会議に先立って出された。この会議は、民間銀行を
代表するグループのリーダーを務めるチャールズ・ダラーラ氏と、財務大臣および首相を含
むギリシャ政府高官の間で行われる予定。
【イタリア】:格付け機関フィッチ・レーティングスの幹部によれば、今月、イタリアの信用
格付けが引き下げられる可能性は「相当高い」。また同社のソブリン債部門責任者、デービ
ッド・ライリー氏は、その理由にユーロ圏の危機を止めるためのプランがないこととイタリ
アの膨大な負債額を挙げている。
また同社は先月、イタリアおよびその他ユーロ圏の5ヵ国に対して、格下げの可能性がある
と警告。ライリー氏は、当該諸国の格付け見直しは1月31日までに完了するとした。
さらに同氏は、ユーロ圏で第3位の経済規模を誇るイタリアは欧州の債務危機の「最前線」
にいるともコメント。
【ドイツ】:2011年、ドイツ経済は3%増を記録し、経済成長見通しの予想範囲内で推移した
ものの、 2010年よりも予想から外れていた。
木曜日に連邦統計局が発表した暫定的統計によれば、ユーロ危機以前よりも高い成長率では
あったものの、2010年に記録された3.7%増には及ばなかった。
また同局は、最も成長に貢献した要因の1つに国内消費を挙げている。家計消費は
1.5%増加し、5年間で最も高い成長率となった。
なお、輸出が8.2%増(前年比)する中、輸入は比較的緩やかな7.2%増で推移。
これら最新の統計は、第4四半期における景気後退を示唆し、ドイツが不況に陥るのではな
いかと懸念されている。
【ハイライト】:欧州の年金危機の現状
欧州の年金問題は、ユーロ危機の以前から不安視されてきた。
欧州中央銀行(ECB)が実施した調査によれば、EU加盟国の内
19ヵ国の国庫で賄われる年金給付額は、同諸国の総負債額の約5倍以上。
2009年にドイツのフライブルグ大学のジェネレーショナル・コントラクツ研究センターが集計したレポートに含まれた国々では、現在人口に対し、およそ30兆ユーロ(39.3兆米ドル)もの給付金が必要との見通し。
ワシントンのピーターソン国際経済研究所の研究フェロー、ジェイコブ・ファンク・カーク
ガード氏は、「完全に持続不可能であり、明らかに見直しが必要」と語る。
世界で第2位の経済ブロックを脅かす不況および欧州の債務を削減しようとする動きが金融
リスクを深刻化させている。ECBのレポートによれば、安定的または低下する出生率、さ
らに平均寿命の上昇が更なる負担となり、2060年までに退職手当に充てられる経済生産の
割合は0.25%増加し、14%に引き上がるとされている。
中央および東欧諸国の年金コンサルティングを行っているマーサー社のファーガル・マクギ
ネス氏(チューリッヒ駐在)を含むアナリストたちによれば、 17ヵ国で構成されるユーロ
圏を繋ぎとめておくためには、定年の引き上げと年金給付の引き下げが必須条件である。
欧州は、60歳以上の人口割合が最も高い地域であり、国際連合(国連)のレポートによれ
ば、その割合が2009年の22%から2050年にはおよそ35%まで増加する見込み。一方、全
世界では2009年の11%から2050年には22%まで増加する見込み。
経済協力開発機構(OECD)34ヵ国の中で65歳以上の人口は、1970年の8,500万人から
2050年までに4倍以上増加し、3億5,000万人になると予想されている。
また国連は、先進国と呼ばれる諸国の平均寿命は
2009年の約75歳から2050年までには約83歳まで伸びるとしている。
フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリアおよび英国を含む国々の政策立案者が定年を引き上
げるなど、各国政府や企業は将来のコスト削減を試みている。
カークガード氏は、「ユーロ圏諸国であろうとなかろうと、構造改革の一環として欧州諸国
は全て定年を引き上げるべき」とし、「年金危機のおかげでこの点に焦点が当てられている。
これは色んな意味で有意義なことである」と続けた。
フレイブルグ大学の研究者、ステファン・モーグ氏は、国民の平均賃金の
63%に相当する今のフランスの年金給付額が2060年までには
48%になると予測。
年金マネージャーおよび政府は支払義務を果たせるよう経済成長に頼っている。マーサー社
のマクギネス氏によれば、公的資金および民間資金を強化するユーロ圏の成長が緩慢すぎる
と、退職年金を負担しきれなくなる可能性が出てくる。
また同氏は、「各国が社会保障および長期介護にかける金額は増加する」とし、「より寛大
な社会保障システムを実践している政府は支払いに苦労するだろう。彼らは、これらのコス
トが借入削減に影響することを理解すべき」とコメント。
マーサー社の集計データによれば、フランスおよびドイツの国家年金給付額は自国経済の三
倍。しかし、ドイツよりもフランスの出生率が高いことから、フランスの方が持続可能。
昨年、フランスでは年金受給者1人当たり労働者
4.2人の割合だった。また雑誌『エコノミスト』3月号によれば、この比率は
2050年までに1.9人に減少。ドイツでは同時期に4.1人から1.6人に減少する模様。
マクギネス氏は、「この減少は、ドイツ政府の責任能力に大きな負担をかける」とし、「そ
のため、年金給付額を削減するだろう。政府は多くの寿命リスクを抱えている」と発言。
これらの問題は個人年金プラン(つまり、政府に頼らないプラン)がさらに重要になってき
ていることを示唆しており、今まで以上に退職後の生活のために自分で貯蓄する必要がある。
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